秘密保持契約書②(目的)

1.

秘密保持契約書では、開示する目的を記載して、その目的のために開示されたものや開示したものを守秘義務を負う情報とすることで、守秘義務を負う情報の範囲を限定していく様式になっていることが多いように思います。

目的の記載がないと、受領する側からは、守秘義務を負う情報の範囲が広がりすぎるので、受領する側のときは注意する必要があると考えています。

開示する側からすると、目的を広くしておけば、守秘義務を負う情報の範囲という意味では、あまり注意する必要がないと思います。

 

2.

守秘義務を負う情報の範囲としては、上記のとおりだと思うのですが、業務を依頼するかもしれない側からは、別の観点からの検討が必要な場合があります。

業務を依頼するかもしれない側からすると、情報を開示する段階では、業務を依頼するかどうかは確定的ではないことが多いので、業務を依頼する意思が確定的であるとまでは推認しえない記載としておいた方がよいと思います。

後に、業務を依頼しないことになった場合に、業務の依頼を受ける側から、依頼を受けることを前提に資材・機材等を調達したので、その費用を負担して欲しいと言われることがあるためです。

このため、目的の部分について、依頼する側からは、「可能性の検討」と記載し、依頼する意思が確定的なものではないことを明示しておいた方がよいと思います。

依頼を受ける側からは、可能性の検討なのか、検討なのかはあまり気にする必要はないのかもしれませんが、受けない可能性があるのであれば、やはり、可能性の検討としておく方が後の交渉等では、若干有利になるのかなと思います。

 

ブログの更新をさぼっていたのですが、司法試験も来週ですし、実務修習も終わりに近づいたので更新しました。今後も、時間を見つけて更新していきたいと思います。