民事裁判の起案

修習中の起案は、だいたい成績が真ん中くらいだった私ですが、特別勉強したわけではなく、重要な事項だけ頭に入れていました。

 

問われるのは、主に、①訴訟物、②要件事実(主要事実)、③争点、④争点についての判断です。

 

争点についての判断は、どの判断類型の場合でも、間接事実を総合的に判断することになるので、間接事実を多くあげて、評価をしたうえで、最終的に総合評価をするということになると考えています。

間接事実は、1つ1つあげても良いのですが、ある程度まとめて3つくらい摘示して

評価すると書きやすいかもしれません。

 

起案上重要な事項は以下です。

定義は書く必要はないようですが(書けと言われてことはないので)、

定義に基づいて判断しているかは評価ポイントになっているようです。

また、判断枠組みを示すことが求められていますので、

争点ごとに判断枠組みを示すことが必要です。

 

1.

(1)直接証拠の定義

要証事実である主要事実を直接に証明できる内容を持つ証拠

①問題となっている要証事実の体験者が、②要証事実そのものについて供述又は記載したもの。

体験者性と事実対応性が必要。

 

(2)類型的信用文書

当該書面の体裁等からして、類型的に信用できる書面のことをいう。

通常はそれに記載された事実が存在しなければ作成されない文書である。

 

2.判断枠組み

①直接証拠である類型的信用文書があり、その成立に争いがない場合

②直接証拠である類型的信用文書があり、その成立に争いがある場合

→成立の真正(一段目または二段目)

③直接証拠である類型的信用文書はないが、直接証拠である供述証拠がある場合

→供述の信用性

④直接証拠である類型的信用文書も直接証拠である供述証拠もない場合

→間接事実の総合考慮

 

ちなみに、ジレカンの表記で、③の場合も④と同じであるといった記載があったかもしれませんが、誤解を与え得る記載になっています【ページは後で追加】。

 

3.二段の推定の適用があることの記載例

甲は、甲名下の押印が甲本人の印章であることは認めている。

甲本人の意思に基づく押印が推定され(一段目の推定)、ひいては文書全体の成立の真正が推定される(二段目の推定、民訴法228条4項)。

 

我が国では自己の印章は厳重に保管、管理し、理由もなく他人に使用させることはないという経験則がある。そうすると、文書条の印影が本人の印章によって顕出されたものであるときは、反証のない限りその印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと推定される。

そのため、反証が成功するかが判断の中心となる。

 

要件事実の書き方は、事実摘示記載例集を参考にして書き方を覚えて、

間接事実はできるだけ多く取り上げていけば、良い評価がされる

ように思います。